【淺野川神社】

 
 淺野川神社は宇賀之魂命・大山咋命・崇徳院天皇・菅原道眞を祀る。並木町七十六番地(現在の橋場町9-15)に在り。もと山伏天道寺の奉仕せる神社にして、加賀古跡考に「石川郡久安村の社は、延喜式内御馬社なり、長享の比、富樫泰高久安村に居館を造營ありし頃、彼神社に稲荷明神を勧請し、天道院と云修験道者を社僧となし、奉仕せしむ。後此稲荷を金澤へ移し、今の味噌蔵町稲荷橋の邊に社殿を造營す。然るに元和二年再び浅野川の河縁へ移せり。今の稲荷天道寺是なり」と見え、天道寺記には「金澤城地に本源寺と云道場を建立せし比、久安の稲荷社を味噌蔵町稲荷橋の邊へ遷宮し、慶安四年八月、浅野川今の地へ再轉す。故に久安村の稲荷神社は本社なるにより、昔より別當天道寺の兼勤社とす」とあり。然れど皇國地誌には「元和二年大鋸町即ち、今の字稲荷橋邊に創建し、修験派天道寺別當たりしが、慶安四年今の處に移る」と載せたり。
 別當天道寺は、明治元年復飾して神職となる。十四年六月、浅野川神社と改稱せり。
(稿本金沢市史より)




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