【白髭神社】

 
 白髭神社は素盞鳴命を祀る。木ノ新保六番丁五十三番地(現在の本町2丁目18-8)に在り。貞亨二年上記の由来書によれば、永長中、本社を加賀石川郡安江村の地内に建立したるにて、社地の廣さ方五十間にして、一村の産土神たり。別當を持明院といふ。
眞言宗にして、社内に居住せり。故に白髭持明院とも呼びなせはせり。後少らく中絶しかど、寛永中、社殿坊舎を再興したるに、明暦元年藩主前田利常は泉野に於て社地を給へり。然れど氏子は社頭を離れ難き旨を申立て、其事止みたれど、萬治二年、社地を公用に収められ、代地を津田勘兵衛上ヶ地に給はりて移轉せり。これ今の處にして、寛保元年尚地子地を請込みたりといふ。
 明治維新の初、神佛混淆を廃せられ、別當持明院を復飾せしめたれど、肯ぜざりしかば、明治二年其神勤を停止し、社僧の名義を廃し、社地と寺地との境界を定めたるに、社地大に狭くなりぬ。本社は明治五年十一月、村社に列せられたり。
(稿本金沢市史より)




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