伝統ある老舗の技、もてなしの心を通して石川の文化を再発見。 老舗コンシェルジュ、今回は尾張町に店を構えて99年。 「石野テント」にお邪魔しました。
藩政時代は加賀藩出入りの御用商「石動屋」として参勤交代などの蓑合羽を納めていた石野家。 明治42年、近代的な油紙による合羽を取り扱うことで創業の年とし、 大正に入ってからは工業用ミシンを導入し、雨合羽の縫製を開始。 昭和48年には自社工場ビルを建設、本格的に雨合羽・テントの専門店の道を確立。 店舗裏手にある自社工場では、熟練した職人の手によって特注のオリジナルテントや天幕などが制作されています。 雨の町金沢。 お客様を雨しずくからやさしく守るのがおもてなしの第一歩。 現在、再開発が進む近江町市場のアーケードも 石野テントの仕事です。 八百屋さん、魚屋さん、肉屋さん、全ての商品が おいしく見える色を採用してあります。 「使う立場」を考えたモノづくり。 その根底には先代から受け継いだモットーがありました。「うそをつかないこと」 石野社長は「自分にも相手にも商品にもうそをつかないためにも良い材料を使います」と言い切ります。 石野テントの7代目として生を受けた秀一朗さん。 大学卒業後、尾張町の商家の跡取りとして、修行のため7年間大手企業へ。 しかし生まれ育った尾張町に戻ってきたとき、商店街としての影が薄くなっていた町の姿にショックを受けたといいます。 「商店街の人たちが自分の町を”終わりの町”と自嘲し、“昔は良かった”と、繁栄していた尾張町の思い出話をするばかりだった・・・」 ここは商人あこがれの「尾張の町」!!。尾張町たらしめた魅力が必ずあるはず・・・・ ここにしかないものの発見と創造を求めて、石野さんは小冊子の出版に踏み切りました。 尾張町の歴史に始まり、この町に生まれた泉鏡花のこと、 そしてこの町に生きる老舗の女将などから聞き語り・・・ 20年間執筆を重ね、今では26冊を数えるまでになりました。 さらに尾張町のこだわりを表現するために、ショーウィンドウの一角に「こだわりの商売道具」を展示する「一品ミニ美術館」を設置し、連綿として受け継がれてきた商いの心意気を紹介しています。 今では尾張町で商いを続ける12店舗でミニ美術館を楽しむことができます。 また、誰でも商店街でインターネットに接続できるようにと公衆無線LANを整備し、 買い物情報を探す市民や観光情報を求める観光客にとって便利な街づくりも進めています。 連綿と受け継がれてきた商いへの情熱は、今、8代目の長男へバトンタッチされようとしています。 8代目の発案で1年前、石野テントではインターネットによる商品の小売販売をスタートさせました。 売り上げはまだまだですが、手ごたえは感じているようです。 来年で創業100年目を迎える石野テント。 代々受け継がれてきた老舗ののれんを守り続けるための心意気とは? 「老舗としてあぐらをかくのではなく、新しいモノを発見し続ける姿勢を持ち続けていきたい!」 【石野テント】 金沢市尾張町2-8-20