合羽とは

語源・意味

合羽の歴史
時 代事            項備  考
16世紀以前蓑で風雪や雨などを凌ぐだけだった合羽の伝わる以前
16世紀前後日本に来航したポルトガル人やスペイン人が着ていた
「袖もなく、すそ広きもの」《四季草》にちなむ
支配者は権威の象徴とする
(カッハ・カハン・カッパなどと称す)
江戸(鎖国)オランダ人のもたらした羅紗などの羊毛布地を使って、 上級武 士の間に広く使われる合羽・雨合羽といわれた
元禄初年
(1688年)
富裕な町人、 医師、 俳人たちも合羽の贅を競うようになったため、 幕府は数度に渡って着用を禁止町人のラシャ合羽着用なくなる
江戸中期木綿が国内で生産され、富裕な町人たちが木綿合羽を着始める
これは小袖の上に重ね着をする袖のついた裾長のもの
長合羽が出回る
元禄後半「紙合羽」が誕生 わらび糊を使って和紙を継ぎ合わせて
その上に桐油と柿渋 を引いた″紙合羽″、 ″桐油合羽″が作られた
  • 上質の荏油(えのあぶら)の合羽は大名行列に
  • 庶民は安価で速成の桐油の合羽が常用される
  • 武家中間=赤色の半合羽「赤合羽」着用
  • 武家僧侶=もえぎ色のラシャ製半合羽着用
  • 一般町人=木綿の長合羽を着用
享保年間富裕な町人や武家の従士たちは、 木綿の半身の合羽 (半合羽)を着用し始める
  • 縞木綿を表に、 絣(かすり)木綿を裏にして、 防水用の渋紙を 中入れにした廻し合羽が作られる
  • これを引き廻しともいっ て庶民の道中用にした
着物仕立ての「袖合羽」が考案される
江戸後期ラシャを使った袖合羽も一般化
  • 丈の長短により長合羽、 半合 羽といわれる
  • 小者や庶民の間では半合羽ですませる男性もいた
  • 女性は高級織物で作り「お座敷合羽」「被風(ひふ)」と呼んで利用
被風の流行は女の羽織を禁 止するほど
幕末以降西洋の外套を模倣した「とんび」「廻し」を着るようになる合羽は姿を消す
明治末ゴム引きの防水マントが出現し、 カッパとか雨合羽と呼ばれる昭和まで愛用される
現 在自動車等の普及で機能と効用が問い直される
  • 生活への快適さ・潤いのある合羽
  • より機能的で、行動力を促進する合羽
新素材による新しい合羽の出現

参考資料:[平凡社「覆刻大辞典」]・[冨山房「大言海」]・[小学館「日本国語大辞典」]・[平凡社「百科事典」]